自粛生活も長引き、感染リスクを気にする人やコロナ慣れした人の意識の差もあり、普段より落ち込みやすかったり、イライラしやすい状況もあるようですね。
それでは、今日はコロナ疲れを解消するために、管理栄養士が意識している食事のポイントについてお話しましょう!
コロナウイルス感染拡大による、自粛生活が長引き、普段より落ち込みやすかったり、イライラしやすい、眠れないなどの症状はありませんか?そして、それらの不調に気付かず、苦しんでいる人がまわりにいませんか?そこで、長引く自粛生活による心身の不調を、食事で改善していく方法をお伝えします。
コロナ疲れ解消の鍵は、タンパク質
コロナ疲れにとりたい栄養素は、タンパク質
コロナ疲れにとりたい栄養素は、タンパク質です。とくに、必須アミノ酸であるトリプトファンをおすすめします。そして、食事から摂らなければなりません。主に、肉や魚、豆類、卵などに多く含まれます。
タンパク質の働き
タンパク質は、アミノ酸の集まった状態です。このアミノ酸は、20種類ありそのうち体内で作ることのできない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます。タンパク質の働きは、主に私たちの体(筋肉、臓器、髪の毛など)ホルモン、酵素などの成分です。
心の栄養の材料、トリプトファン
必須アミノ酸であるトリプトファンは、心の栄養に欠かせません。それは、トリプトファンから生合成される、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが、精神を安定させる働きがあります。コロナ禍で感じる不安やイライラ、睡眠不足などの原因の1つに、セロトニンの分泌低下があります。
心の栄養に必須な「セロトニン」
セロトニンは、脳内の神経伝達物質で「幸せホルモン」と呼ばれることもあります。そして、セロトニンは、心のバランスを整えます。セロトニンを適度に分泌するために大事なことが、3つあります。
①日光を浴びること
②規則的なリズム運動をすること
③食事で、セロトニンの材料であるトリプトファンを摂取すること
コロナ禍で、セロトニン分泌に大事な3つのバランスが崩れている
コロナ禍で、テレワークにより通勤が少なった影響で、電車に乗って会社への行き帰りの運動する機会が減ったことや家で仕事が始められるので、ギリギリまで寝て生活リズムが不規則になったと感じていませんか?
また、家で簡単にごはんを済ませるために、とりあえずお腹を満たすために麺類や丼、おにぎり、パンなどの糖質を中心にすることも少なくありません。緊急事態宣言が発令されるかも?と、報道されるようになって真っ先にスーパーの棚から消えていった食品は、手軽に食べられるパン、インスタントラーメン、パスタとパスタソース、ピザやチャーハンなどの冷凍食品でした。
これらが、セロトニンを分泌するために大事な3要素を遠ざけて、バランスを崩していたのです。コロナ禍による、自粛生活で思い当たる節があると感じていませんか?もしかしたら、その食生活がコロナ疲れを感じているのかもしれません。
コロナ自粛中の食生活でタンパク質不足に
じつは、コロナ疲れかも?
コロナ禍による、自粛期間の生活リズムの乱れによってコロナ疲れがたまっているかもしれません。気付いていないコロナ疲れの蓄積で、不安やイライラを増幅させていることも考えられます。そこで、コロナ疲れを診断してみましょう。
コロナ疲れ診断
コロナ疲れ診断で、自分の心の状態を客観的にみてみましょう。
- 眠れない、寝つきが悪い。
- 以前に比べ、食欲が低下したように感じる。
- お酒やタバコの量が増えた。
- イライラすることが多い。
- 集中力がもたない。
- 余裕がなく、いつも焦っている。
2つ以上当てはまる場合、コロナ疲れによって精神的ストレスを感じている可能性があります。
コロナ禍による食生活の乱れ、タンパク質は足りてる?
コロナ禍による食生活の乱れで、セロトニンがうまく合成できていないことで心身の不安を感じやすくなっているかもしれません。先ほどお話したように、糖質中心の食事でタンパク質が不足していませんか?と、言ってもトリプトファンを多く含むタンパク質を1日にどのくらいとるのが理想的か、分かりづらいですよね。
そこで、食事バランスガイドをもとに、1日にとりたいタンパク質量をみてみましょう。年齢や性差はありますが、3~5SVとることが推奨されています。
1SV=冷や奴or納豆or目玉焼きなどの(卵、豆料理など)
2SV=焼き魚or魚のフライorまぐロトイカの刺身などの魚料理
3SV=ハンバーグor豚肉の生姜焼きor鶏肉のから揚げなどの肉料理
これを1日で組み合わせて、3~5SVとることが理想です。例えば、朝食はフルーツ、昼食にサンドウィッチとスープ、夕食に焼き魚定食という場合、タンパク質を含む食品がとれたのは、夕食の焼き魚定食だけということになる、2SVしかとれていないため、タンパク質は不足していると考えられます。
このような食事に近い場合、タンパク質不足によって、セロトニンの分泌がうまくできておらず、不安やイライラを感じやすくなっているのかもしれません。
コロナ疲れ気付いて、毎日の食事を見直そう
心の栄養を毎日の食事でとる方法
コロナ疲れを解消するためには、セロトニンの分泌が大切だとお伝えしてきました。そして、セロトニンが分泌されるためには、日光を浴びること、規則的なリズム運動、そして、セロトニンの材料を食事でとることが重要でしたね。
とくに、3つ目の食事でセロトニンの材料であるトリプトファンをとることが大切です。そのためにも、毎食、タンパク質をこまめにとることをまずは意識してみましょう。
コロナ疲れを解消する管理栄養士のおすすめ献立例
そこで、管理栄養士がおすすめするコロナ疲れを解消するメニューをご紹介します。
<朝食例①>
ごはん
卵焼き
青菜のお浸し
お味噌汁(豆腐・わかめ)
<朝食例②>
パン
目玉焼き
サラダ
スープ
フルーツヨーグルト
<昼食例>
ごはん
豚肉の生姜焼き
ひじき煮
かきたま汁
<夕食例>
ごはん
魚の煮つけ
酢の物
お漬物
お味噌汁(揚げ・なめこ)
また、おやつは甘いお菓子を選ぶ人も少なくありませんが、ゆで卵やフルーツヨーグルト、豆乳ラテ、チーズなど、タンパク質がとれるメニューを意識してみるのもいいでしょう。
不安は、どんどん大きくなるから毎日の食事でケア
食事は、毎日3回の健康になるチャンス
食事は、毎日3回の積み重ねです。よく、「食べたもので体は作られる」と、言いますが本当にその通りだなと実感することがあります。食べ物に含まれる栄養素は、さまざまな働きがあり、タンパク質だと筋肉や臓器、食べたものを消化するために必要な酵素などが作られます。
その他にも、ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必要なビタミンであるため、弾力のある美肌でいたいと思うなら、ビタミンCを多く含む食品をとって美肌をキープするなど、食べることで、なりたい自分に近づきます。だから、食事は、毎日3回の健康になるチャンスです。
食事を整えれば、心も整う
そして、見た目だけでなく心の健康も食事が重要です。社会情勢や人間関係で不安やイライラすることがあっても、いつまでもクヨクヨしない心でいるのは、今日お伝えした「セロトニン」が重要だということです。
毎日の食事を見直そう
コロナ禍によって、マスク着用や外出自粛、人とのコミュニケーションの場が減るなど、新しい生活様式も緊急事態宣言が解除されても、感染拡大を防ぐために、続くことでしょう。コロナウイルスなどの感染症にならない体作りや心の不安を抱えないために、食事の力を今一度、見直してみませんか?
まとめ
コロナウイルス感染拡大によって、生活様式が大きく変わり、不安やとまどいも感じている人も少なくありません。食事で、体と心を健康にすることを今回、お伝えしました。家で過ごす時間、いつもと違う生活様式に窮屈さを感じますが、食事を整えることで、その不安を少しでも軽くすることができます。
そして、不安やイライラなどの原因となるような、ニュースやSNSから一時的に離れたり、体を積極的に動かせるリズム運動をする時間に当てたり、オンライン上でも信頼できる人と話せる環境を整え、ホッと一息付ける習慣にシフトしてメンタルケアをしてみましょう。
管理栄養士 岡田明子
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