今回は、メンタルヘルスの不調による、悲しいニュースが増えないために、食とメンタルヘルスの関係についてご紹介します。新型コロナウイルスの感染拡大によって、さまざまな不安や生活様式の変化で戸惑うこともあります。しかし、不安は食によって取り除くことができます。毎日の食事で、不安を取り除く食事術をお伝えします。
心の不安は自分のせいじゃない!
心の不安を抱えて、悲しい結果に
新型コロナウイルスの感染予防のため、緊急事態宣言が発令されてから、家で過ごす時間も増え、メンタルヘルス=心の健康問題がクローズアップされるようになりました。家で過ごす時間、楽しく過ごそうとSNSでいろんな取り組みが投稿される一方で、自分のことを見つめる時間や人との関わりが減ったことなども影響して、自殺という悲しい選択をしてしまった方もいるのも事実です。
今年の自殺者
警察庁によると、2010年から2019年までの自殺者数は減少傾向と報告しており、2019年と2020年の8月で数を比較すると、2019年8月は1603人、2020年8月は1849人と昨年の同じ時期と比べ、今年は増加しています。
自殺の原因・背景について、自殺にいたる原因は複数のことが重なって結果、起きていると推測されます。例えば、男女問題、経済・生活問題、健康問題、家庭問題、勤務問題、学校問題などです。今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大により、今までの生活が変化してきました。それをきっかけに、悲しい結果が起きていると考えられます。
心の不安は、食事で救われる
新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、さまざまな心の不安を抱える要因があります。自粛期間で、人と会話することが少なくなったと感じる人もおり、普段であれば、何か悩みなど心の問題は、人に話して解決できていたことが、しづらくなってしまいましたね。後程、詳しく説明しますが、セロトニン、別名「幸福物質」と呼ばれる、脳内神経物質が大きくかかわっており、自殺したうつ患者の脳脊髄液を分析した結果、うつが原因で自殺をした人の脳にはセロトニンが大幅に減っていたことが考えられるそうです。(参照※3)
そしてこのセロトニンを分泌するためには、さまざまな方法がありますが、その1つに食事からセロトニンを生成することができます。セロトニンを生成するための食事を意識していれば、心の不安を解消することも可能です。
食物繊維をたくさんとるメキシコ人
日本は、先進国の中でも自殺率が高いことをご存知でしょうか?人口に占める自殺率は、先進G7の中で、日本は第1位です。一方、世界で最も自殺率の低い国をご存知でしょうか?それは、メキシコです。そして、メキシコでは食物繊維を最も多くとっており、食物繊維の効果で、セロトニンを90%以上生成するといわれる腸の環境が良く、セロトニンの生成ができていることが考えられます。この結果を見てみると、メンタルヘルスが食に大きく関わっていると思いませんか?
メンタルヘルスに与える影響
メンタルヘルスの不調で、悲しいニュースが増えないために
先ほども述べたように、日本は先進国の中でも自殺率が高いように、メンタルの不調を感じている人が多くいます。厚生労働省でも、メンタルヘルスに関して、セルフケアや心の病気との付き合い方などが発信されています。LINEや電話などで相談できる窓口もあります。
新型コロナウイルスによる不安と食の関係
最初にお伝えした通り、2019年8月と2020年8月の自殺者数が増加しており、自殺者数が増えた背景に、新型コロナウイルスが関係していることが考えられます。さらに、新型コロナウイルスによる感染拡大を防ぐため、飲食店も営業自粛し、いつもと食の形態が変わったことも考えられます。
日本人の食事がメンタルヘルスに影響する理由
戦前の食事は、ご飯と漬物とお味噌汁におかずが定番でした。これは、ご飯が中心で、食物繊維の多い食事でした。しかし、現代は食の多様化が進み、さまざまなものがいつでも食べられる環境ですが、食事内容が欧米化したことで、ご飯などの炭水化物が減り、脂質が多い食事が食べられるようになりました。
これは、食物繊維量も減り、栄養バランスが偏ってしまう食事で、その結果、生活習慣病も増え、メンタルヘルスにも影響を与えています。
心の不安を取り除く食事の秘密
幸せ物質「セロトニン」と腸の関係
心の不安を取り除くためには、セロトニンが分泌されていると「幸せだな」と感じやすくなります。もちろん、セロトニンが分泌されているから、不遇なときや不運から解放されるわけではありませんが、自然とやる気を起こさせてくれます。
セロトニン製造工場
セロトニンは、脳内神経物質ですがじつは、腸が作りだしており、脳に伝わり、「幸せだな」と感じられるのです。そして、腸内細菌である善玉菌がたくさんいる環境が理想的で、腸内環境を整えておくことが大切になります。
腸内環境を作る食生活
セロトニンを作るためには、腸内環境を整え善玉菌が優勢な環境が理想的です。そのためには、便秘であると腸内環境が乱れている可能性もありますので、毎日のお通じがスムーズに排便されていることがいいでしょう。便通をよくするためには、毎日の食生活を整える必要があります。
- 朝起きたらコップ一杯の水を飲む
- 軽い運動を取り入れる
- トイレに行く習慣をつける(がまんしない)
- 食物繊維をとる
- 発酵食品をとる
- 体(とくにお腹周り)を冷やさない
これらを意識して、生活すると便秘がちな人は便秘が改善しやすくなりますので、意識してみましょう。
心の不安を取り除くための日々の食事
毎日のごはん
腸内環境を整え、セロトニンを分泌するためには、毎日の食生活が大切になります。まず、毎日のごはんで食物繊維や発酵食品を取り入れ腸内環境を整えていきましょう。
また、セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンから生成されます。このトリプトファンは、食事でとらなければならず、毎日の食事で意識してとっていきたいです。
トリプトファンを多く含む食品は、大豆や豆腐、納豆、味噌、醤油などの大豆製品、牛乳、チーズなどの乳製品、卵、ナッツ類、ごま、バナナに多く含まれています。戦前の食事でもご紹介しましたが、ごはんとお味噌汁を中心とした食事は、トリプトファンが摂取しやすくなるため、基本はごはんとお味噌汁で食物繊維を多く摂取できる野菜を中心とした食事内容を意識してみましょう。
コンビニで選ぶなら
自炊がなかなかできず、気軽に利用できるコンビニにもトリプトファンを多く含むおかずが揃っています。先ほど、ご紹介した大豆製品、乳製品、卵、ナッツ類、ごま、バナナなどの商品も充実しているため、それらを選んでみましょう。
おすすめは、納豆巻きや胡麻ドレッシングのサラダ、ゆで卵や厚焼き玉子、バナナ入りヨーグルトなど選んでみてくださいね。
外食で選ぶなら
外食の場合、ごはんとお味噌を中心とした定食屋さんなどがおすすめです。また、居酒屋などでは、冷や奴、だし巻き卵、枝豆に野菜もとれるおかずを選んでみましょう。洋食がメインのお店であれば、パンやパスタではなくごはんがとれるドリアなどオススメです。
まとめ
今回は、メンタルヘルスの不調による、悲しいニュースが増えないために、食とメンタルヘルスの関係についてご紹介しました。新型コロナウイルスの感染拡大によって、さまざまな不安や生活様式の変化で戸惑うこともあります。しかし、不安は食によって取り除くことができます。毎日の食事で、「幸せだな」と感じられるセロトニンを分泌して、これ以上悲しい選択をしないために食事を整えてみませんか?
管理栄養士 岡田明子
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