以前ニュースで見たのですが、「だしパックの煮すぎ」が原因で食中毒が発生したようですよ!びっくりですよね。
食中毒を防ぐために、日々の業務で、衛生管理を徹底している管理栄養士さんも多いですね。食中毒の原因食材は、授業でも習いましたし、日々の業務の中で気をつける食材を把握していると思います。
しかし、食中毒事例を見ていると、「まさか?!こんなものが食中毒の原因になるなんて」と、食材もあります。
衛生管理はしすぎることはありません。現場の衛生管理や衛生指導に食中毒事例を取り入れると、現場で働く調理師さんや調理員さんにもイメージがしやすく衛生管理に取り組みやすくなります。今回は、最近、発生した食中毒の事例をもとに衛生管理の大切さを再認識しましょう。
現場の衛生指導は、食中毒事例を話すことが大事!
食中毒は、気を付けるだけじゃダメ
私たち管理栄養士は、主な業務の一つとして衛生管理があります。食中毒を発生させないために、日々の努力が大切ですよね。調理を担当してくださる調理師さんや調理員さんが、正しく食材を取り扱い、衛生的な調理をしてもらうために、衛生指導が大切です。
食中毒にならないために、作業に気をつけることはもちろんですが、何をどう気をつけたらいいのか具体的に伝えることが管理栄養士の衛生管理に欠かせないと感じます。現場での衛生指導は、どのようにしていますか?
何で発生するか食中毒事例をたくさん知っておくこと
私たち管理栄養士は、様々な食材を取り扱う上で、「これは、食中毒にはならないだろう」と、いうものでも取り扱い方によって、食中毒になる恐れがあることを知っておかなければなりません。一般的に、食中毒の原因となる食材はとくに注意していると思います。しかし、取り扱い方によっては、どんな食材も食中毒になります。
食中毒事例をもとに、今の現場に置き換えて考える
どんな食材も食中毒になります。そのことを調理スタッフに伝えるためには、たくさん食中毒事例を見て、情報を共有しておくことが大事です。現場で同じリスクはないか、事前にそのリスクを排除しておくことで食中毒を発生させない、日々の積み重ねで食中毒を防ぎたいですね 。
「これは食中毒の原因にならない!」食材はない
何で食中毒が発生するか分かりません
一般的に、食中毒の原因と種類について、農林水産省のホームページにはこのように記されています。
「食中毒を起こす元となる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって下痢や腹痛発熱吐き気などの症状が出る」
有害な物質がついた食べ物であれば、どんな食材も食中毒が発生する原因となり得るのです。
食中毒が発生する原因
一般的に、原因食材と取扱方はこのようになっています。
- サルモネラ菌で気を付けたい食材は、卵・肉・魚
- 黄色ブドウ球菌で気をつけたい食材は、おにぎり・お弁当・巻き寿司・調理パン
- 腸炎ビブリオ菌で気をつけたい食材は、刺身・寿司
- カンピロバクターで気をつけたい食材は、加熱が不十分な鶏肉・飲料水・生野菜
- 腸管出血性大腸菌で気をつけたい食材は、加熱が不十分な肉・生野菜
- ノロウイルスで気をつけたい食材は、牡蠣・あさり・しじみ
これらの食材は、禁止していたり、取扱いに十分気を付けて作業をしていると思います。しかし、これら以外にも食中毒は発生しています。取り扱い方によって、いつ食中毒が発生してもおかしくありません。
取扱を間違えば、どんな食材も食中毒が発生する
このように、食中毒が発生する原因食材や取り扱いに注意することは大前提ですが、 どんな食材も取り扱い方を間違えば、食中毒菌に汚染され食中毒が発生する可能性があります。 食中毒が発生すると、 信頼を取り戻すまで時間がかかります。 安心・安全な食事提供に欠かせないのは、衛生管理を徹底しておくことが重要です。
まさか!?「だしパック」が食中毒の原因になるとは
管理栄養士もビックリ!2020年の食中毒事例
<発生日時>
2020年11月11日(水)午後2時15分
<概要>
墨田区内保育園の園長から墨田区保健所に「給食喫食後、園児20名~30名が腕や顔に発疹の症状を呈している。」旨の連絡が入る。患者は保育園の園児28名。
<調査結果>
患者の共通食は、同園で提供された給食のみで、全員がきつねうどんを喫食していた。
同園で提供された給食についてヒスタミンを検出した。六日間の営業停止処分を行った。
だしパックを使った料理を見直してみよう
だしパックは、原因食品となったうどんなどの麺類、 煮物、汁物などに幅広く使われますね。出汁の旨味を効かせるため、鍋の中に長く入れたままにした経験はありませんか?だしパックのメーカーは煮る時間を記載しています。
しかし、つい、「規定時間以上に抽出した方がより美味しくなるのでは?」と、長い時間煮だしたことはありませんか?今回の食中毒のように、ヒスタミンが抽出される可能性があります。
「記載されている用法を守ってほしい」と、都の担当者も呼びかけています。より美味しくなるのでは?と、 勝手な判断で今回のような食中毒が発生する恐れがあります。いつもは大丈夫でも、正しく料理できているか、調理スタッフと、事例をもとに見直したいですね。
だから、食中毒事例が大事!
- まさか、「だしパック」が食中毒の原因になると思いましたか?
だしパックの煮すぎが、食中毒の原因になると思いましたか? 加熱しているし、食中毒の心配は少ないと思いがちな食中毒事例のひとつだと思います。
- 食事は、安心・安全なのが前提
食事を食べる時、「これは安全かしら?」なんて、考えながら 食べる人はあまりいませんよね。提供される食事が安全であることは、当たり前になっているから、いつでも安心して食べていることがほとんどです。
- 食中毒が発生したら「いつも大丈夫だった」は通用しない
今回のように、正しい使い方ができていなかったことが原因で、食中毒が発生することがあります。「いつも大丈夫だった」かもしれませんが、食中毒に限っては、通用しません。いつでも安全・安心な料理を提供することが大前提です。
そのためには、日頃から食中毒の事例をもとに、リスクを排除しておきたいですね!
- あなたの現場にも「まさか!?」が潜んでいるかも?
安心・安全な食事提供のために、「まさか!?こんなものは食中毒にならないよね」という思い込みは捨てて、今一度確認してみましょう。もしかしたら、食中毒に繋がるような使い方をしている食材があるかもしれません。
まとめ
食中毒を予防する衛生管理は、給食施設で働く管理栄養士にとって大切な仕事の一つです。 日々の食事提供で、食中毒を発生させないための努力は欠かせません。これは管理栄養士である私たちだけが気をつけるものではなく、現場の調理スタッフと情報を共有することで、正しい調理をしてもらい、安心・安全な食事提供ができます。
一般的に、食中毒が発生する細菌や食中毒の主な原因食品ばかりを気にするのではなく、どんな食材も取り扱いを間違えば、食中毒を発生させる可能性があることを念頭において、衛生管理に取り組む必要があります。
今回の事例は、「まさかこんなものが食中毒になるなんて」と、驚いた食中毒事例の一つではないでしょうか? スタッフとも情報共有して、衛生管理に努めましょう。
管理栄養士 岡田明子
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